国定公園へ区域案判明 京都府由良川・桂川上中流域

トチノキの巨木がたたずむ京都大芦生研究林の谷筋(2010年10月21日、南丹市美山町・京都大芦生研究林)=上
トチノキの巨木がたたずむ京都大芦生研究林の谷筋(2010年10月21日、南丹市美山町・京都大芦生研究林)=上

  京都府中部の「由良川・桂川上中流域」の国定公園指定に向け、府が作成した区域案が4日、分かった。南丹市や京都市などの3市1町にまたがる6万4千ヘク タールで、京都大芦生研究林(南丹市美山町)、八丁平湿原(京都市左京区)など8エリアを核としている。優れた自然と生態系、文化的景観の保全へ4段階の 各種規制を掛ける。

■府中部6万ヘクタール 保全向け4段階規制

 府は、2010年に環境省が候補地としたことを受け、詳細な区域作成に着手。観光振興につながる利用計画案もまとめた。現在は自治体や住民に向けた説明会を開いている。本年度末に同省へ提出し、来年秋の指定を目指す。

  案では南丹市美山町がほぼ全域含まれた。京都市左京、右京両区のほか綾部市、京丹波町も一部入った。核としたエリアのうち、芦生研究林は、ブナやスギの天 然林が広範囲に残り、八丁平湿原は動植物の豊かな生態系を維持している。自然との関わりから生まれた文化的景観として、かやぶきの里(南丹市美山町)も盛 り込んだ。

 4段階の規制を設けた。芦生研究林などの天然林3100ヘクタールを第1種特別地域とし、建築を認めず、木材の皆伐も禁止す る。伐採後に自然林となった山林、人工林はそれぞれ第2種、第3種特別地域とし、開発に一定の制限を掛けた。生活に関わる住宅や事業所などの施設、農地は 除外したほか、林業が行われている場所も伐採に許可を得るだけで済む第3種とした。

 景観を損なわない緩衝地帯として、高層建築に届け出を求める普通地域も一部設けた。

 府はエリアごとにハイキングや自然観察といった利用計画案も策定。府自然環境保全課は「地域振興を図る『森の京都』構想の基盤にもなり、エコツーリズム活用に期待できる」とする。

<国 定公園> 自然公園法に基づき、日本の優れた自然や生態系を保全し、適正な利用を行うことを目的に国が指定する。国立公園に準じる景勝地で、都道府県が管 理する。現在56カ所が指定済み。府内では丹後天橋立大江山、若狭湾、琵琶湖の3カ所がある。今回の由良川・桂川上中流域(仮称)は、地元の要望に基づか ない異例の国主導で候補地となった。

【2014年09月05日 10時03分】