中央環境審議会・発言速記録(京都丹波国定公園関連のみ)

事務局/自然環境局国立公園課係長

パブリックコメントの実施結果について説明します。意見は合計21通、整理した意見は42件です。 主な意見は、名称に関する9件それについては検討して京都丹波高原がよいのではとなりました。 意見として多かったのは、芦生地域や八丁平地域、第1種を予定している地域で比較的原生的自然が残っているその保護の観点から、 過剰利用で失われるのではないかと心配する意見や施設整備について過剰な施設整備が自然環境の悪化につながることを心配する意見、 今後の管理のあり方に関する意見を頂きました。 守るところは引き続き守っていきたいし、人々の生活で成り立っていたところは人々の生活を維持する必要があるし、 メリハリのある管理を引き続き行いたい。過剰な施設整備を予定しているとは聴いておりません。 自然環境に十分配慮しながら、過剰不要な施設整備は行わず、 必要最小限で行いバランスを採って色々な声をを聞き管理を検討すると聴いています。意見は今後の管理の参考にしたいと思います。

佐々木委員

地元猟友会から聞いのですが、公園内で鹿の食害が出ている。 状況はどうなのか。どう対策に取り組むのか。早めに手を打って頂きたい。

中静委員

20年前から鹿害が顕著になっている地域で、特別地域の対策をお考えかどうか。 1種保護地域になるのが研究林に多い。研究用の実験の計画もあるんだろうと思う。 それを考慮されて地種区分しているのか説明して下さい。

深町委員

私の研究フィールドとして長年関わってきましたので、暮らしが中心となった地域を広域に文化価値を踏まえた指定は意義があると思う。 一方非常に広域で、地域によって状況が違う。大きなところから把握しているが、 地域に深く入らないと分からない情報とか現状もあるので、引き続き調査、地域・関係者との連携を取った運営が大事と思う。 それについて具体的にどんなことを考えているのでしょうか。京都とか若狭とか道や川のつながりも重要です。 今までも古道でつなぐ試みがあったが管理とか適正利用が課題になったのです。これはどのように対処するお考えですか。

下村委員

国定公園は、二次的な自然、人水との関係のすばらしさがテーマになっているということと、 パブリックコメントを見せて頂くとかなり色んな質問意見があって事業計画もそうですが、 これから地域と共同で管理をして行くことかソフト側面、プログラムが重要になるが、 そのあたりを公園計画の中に反映することが難しい。 国立公園の中でも一昨年、共用型運営管理のありかたのことがありましたが、管理計画の中でカバーする必要がある。 管理計画は京都府が中心になるだろうけれど、環境省としてどのように位置づけて関与されようとしているのか、 しっかり管理計画を立てて欲しい。

江崎委員

今年度この地域で全国エコツーリズム大会がありました。 芦生の森も研究の上で保護してほぼ自然なまま、手をつけず倒木があってもそのままにされている。 安全のこともあるでしょうけれども、その中で(エコツーを)やって頂いて地域資源の活用も考えている。 これを機に地域は地域振興を考えているので、保護をするからこそ、地域振興につながるので、人口も減ってるので地域振興につなげて欲しい。

中崎委員

里山を国定公園に考える新たな試みだ。将来的には日本のランドスケープを守るために重要。 良い方向性だ。その分、新しい取り組みなのでいくつか懸念がある。 研究林はいままで研究で維持してきた京都大学の研究があるからこそ自然の営みも分かってきた。 それが知識、その場所の知恵として受け継がれている。これまで研究してきたことが担保されるのか、 指定によって研究が制限されることがあるのか。京大も利用している他大学も気にしている。 さらに過剰に人が入ることによって、研究林の運営が大変になる。うまく調整ができるのだろうか。 調整する組織や話し合いの場がが常にもたれる、一回だけでなく問題があったらすぐ議論できる場があったらいいなと思う。 人口減少や鹿害によってこれからもランドスケープが変わって行く可能性がある。 その時どうやって公園を保全して行くのか、地域自治体を含めて環境省が何らかの形で応援して行かなければならない。 ガバナンス問題も含め、将来に向けて管理していくかという議論が必要になる。

三浦委員

一つは随分前から鹿のインパクトが生態系全体に対してひどい地域で、国定公園の指定、特に保護地域の場所と、 京都府が作っている第2種の特定鳥獣の管理計画の重ね具合はどうなっているのか、 全体として生態系をどういう方向へ持って行くのかとの整合性があるのかどうか。 もう一つは研究林として続けていた場所ですが、公園になってから主要な管理は府になってくのですから、 そういうところで環境省の管理姿勢、方向性をどう重ねるのか重要になってくる。

涌井委員

里地里山を含む公園計画の端緒を開いた意味がある。 従前の保護にウェイトを置くだけでなくそれを維持するための社会システムを活力ある形に維持するのかが重要で、 そのあたりの計画論、それをどうやって関係諸官庁ないしは公共団体と詰めながらやっていくのか、 これを指定した意義を損ねてしまう可能性もあるので、留意して欲しい。

小泉(武)委員

国定公園になることは良いことです。 問題は里地里山のところでですね、いままで管理は京都大学がやってきたんですけど、 ここを上がって行くと朽木谷の方に出て行く、すると人が勝手に入ってくる、 あれはどうなってるんだと大学に聞くと勝手に入ってくるから仕方ない、 これがどんどん広がっていって中まで入ってくると危険なところも多い、 谷も険しいところが多く全体としては危ないところも多いので、どんどん人が入ってきて良いとは言えない。 管理計画、安全計画の件をどこかで規制していかないと問題がある。

佐藤委員

名前なんですが、関西に住んでいると、このあたり、美山は知られた観光地の意味があって、 人も増えていて、自然というよりは観光スポットとして行かれる。 美山の名が入ると、そのイメージに引っ張られる。 京都1200年の都、京都の生活文化を支えてきた地域という意味では今回の名前の方が広くて色んなものをイメージできる。 大きな名前になったことで今回の国定公園の意味が明確になったと思います。

事務局/国立公園課長

鹿の被害と公園計画との関係ですが、長年鹿の特定管理計画をやれれて他府県に先んじて挑戦されてモデルになっている。 今回第1種を指定しますが、鹿の捕獲と公園の規制は矛盾しません。 林業地帯は人の暮らしがあってこその国定公園なので、鹿の影響、芦生では生態系への影響が過重にないように鹿の捕獲を積極的に行って行く、 そこは公園計画と矛盾なく進めて頂くと考えています。 地元との連携、新しいタイプの国定公園をどう考えるかとの意見ですが、実験的な取り組みと思っていまして、 人の関わりよって生まれた景観やその中で育まれた自然、里地里山問題でも難しいですが、 京都府が国定公園にしたいと思ったきっかけはここにあると思っています。 地域地域の実情にあわせて国定公園で地域の産業や文化に光を当て直して外の人との共同であったり、 そのためのエコツーリズムであったり文化に光を当てて行く、 林業に対して新しい考え方での都市との関わりを考えて行くその実験場となれないかと考えています。 今後京都府と、情報を頂きながら管理は京都府実施になりますが全国のモデルでもありますので連携を取っていきたい。 それと、研究林との関係です。大学の研究林が丸ごと自然公園に入るのは例がない。 京都府が大学と念入りに調整をはかってお互いにメリットがあると同意を頂いています。 モニタリングも大事だと思っています。特に、国定公園と大学の研究とをどうマッチさせて行くか、 お互いに良い影響を与えることが出来るかのモデルになると思う。 そのためには日頃からの情報交換、意見交換が必要になります。 大学の管理、所有される演習林という新たな観点で連携を図って行きたい。

京都府/環境部

まず京都大学との問題です。 研究との関係がどうなるんだですが、無届け入林が京都府側滋賀県側からも後を絶たない状況で、遭難もある。 京都大学はこういうところに手を取られて研究に時間を割けないとの課題も聞いています。 国定公園指定にあたり、2年前から京都大学、地元財産区管理役員会、山の家の関係者、滋賀県側の関係者と一緒に協議会形式で、 ここどうして行くのか十分議論して、地域のプラットホームと呼んでいますが、 引き続き枠組みを維持しながらワイズユースの形で研究林の研究と、 その適正な利用を両立出来るような形を地域のみなさんと作って行こうと現在も話を進めていまして、 京都府の単独事業としてソフト予算を計上しまして引き続きやって行きたい。 二つ目が地域の管理をどうするかというガバナンスを含めた問題ですが、この地域は過疎化高齢化が厳しいところです。 その中で自然との関わりが希薄化したことにより自然の劣化が一方で見られまして、 国定公園指定を契機に自然とのつながりを見直して行こうと考えています。 特に宝としたいのは京都大学の研究があることです。 鹿害にしても京都大学で鹿の侵入を完全に防除したところと、それ以外の対象区を作り、 防除することでどのように植生が回復するのかという研究をされています。 こういう研究地、学術地と地元の方が昔からやってこられた経験値を合わせて、 自然の管理をどうして行けば良いかをプラットフォームを中心に検討したいと思います。 昨年の秋、現地ご覧頂いたときに残念ながら川をご覧頂けなかったですが、この地域の川沿いに農地が広がっていまして、 舗装整備されています。通常は農地面積を最大化しますので、川沿いは小さなあぜ道しか引けないんですが、 この地域の人は川との関わりを作って行こうと農地を減らして管理道をつけています。 そのような公共工事もやられていて、地域の知恵を、公共事業を執行する側としても受け止めて再認識したいと思う。 3つめの地域振興の関係のエコツーリズムの観光面も地域は期待しているけれども、これは過剰になると、デメリットがあります。 その意味ではワイズユース、どういった形で利用できるのか、どういった形で自然を理解頂くことが出来るのかが重要と思っていまして、 京都大学研究林とも連携しながら、日本のモデルになる形で管理を含めて進めたい。

石井委員/議長

沢山の意見が出ました。特に鹿の問題、里地としての活用の問題、芦生の原生的自然の保護の問題、 このような意見を踏まえて進めて頂きますようお願いします。 名称につきましても、この名前で良いのではないかと思います。 大きな修正はなかったと思います。お諮りしたいと思います。ご異議ございませんですね。本件適当と認めさせて頂きます。